
ファンの多い隠れた名品!LOVEGの シーズニングスパイスシリーズを手に取ったことがある人でも、その商品がどのような人たちの手を経て完成しているのかを知る機会は、あまり多くないかもしれません。
LOVEGのスパイスシリーズの製造やオーガニックシリーズのソイミールのパッケージングを担っているのが、就労継続支援A型事業所を展開する
<はぁもにぃソーシャルファーム ※以降 <はぁもにぃ>と表記>の皆さんです。
<はぁもにぃ>が目指しているのは、単に「仕事を提供する福祉施設」ではありません。
一人ひとりが自分自身を知り、自分で働き方を選び、自分の力で人生を歩いていくための場所をつくること。約20年にわたり活動を続けてきた 特定非営利活動法人はぁもにぃ 理事長 長浜 光子さんに、その始まりから、仕事への思い、そしてLOVEGとの関係について伺いました。
「この子たちに、何を残せるだろう」
<はぁもにぃ>の始まりは、約20年前にさかのぼります。
当時、長浜さんの娘さんは地域の小学校の特別支援学級に通っていました。
送り迎えをする保護者同士で話をしていたある日、話題になったのが子どもたちの将来でした。
学校に通っている間は、特別支援学級や特別支援学校など、その子に合った場所を探すことができます。しかし、学校を卒業した後、その選択肢は一気に少なくなる。
当時は現在以上に福祉サービスの数も少なく、子どもたちが大人になった時、「毎日安心して通える場所」が本当にあるのだろうかという不安がありました。
そんな時、娘さんの担任だった先生から言われた言葉が、長浜さんのその後の活動を大きく動かします。
「親は子どもより先にいなくなる。だからこそ、子どもたちに何を残せるかを考えてみてください」
家やお金などの資産ではなく、その人がありのままで過ごすことができ、肯定される居場所を地域の中に残すこと。
「それなら、自分たちでつくってしまおう」
保護者仲間との何気ない会話から始まった取り組みは、2007年の法人設立へとつながり、まずは子どもたちのためのデイサービスからスタートしました。
子どもたちは、いつか大人になる

活動を続ける中で、長浜さんたちが次に考えたのが「働く場所」でした。
子どもたちはいずれ学校を卒業し、大人になります。仕事との相性が合えば、障がいの程度にかかわらず、しっかりと働く力を持っている人もたくさんいます。
「だったら、この子たちが大人になった時に働ける場所も、自分たちでつくっていこう」
そんな思いから、地域でカフェを始めたり、お菓子づくりに取り組んだりと、少しずつ「仕事」をつくり始めました。
<はぁもにぃ>は、障がい福祉サービスのひとつである就労継続支援A型事業として利用者と雇用契約を結び、実際に働きながら、自分に合った仕事や働き方を見つけていく場所です。
現在は約20名が所属し、菓子製造、養蜂、農業、飲食店、施設外就労での草刈り、清掃、仕分けなど、さまざまな仕事を展開しています。
ひとつの仕事に集約した方が、生産性は上げやすい。それでも多くの仕事を用意しているのには理由があります。
「来てくれる人の数だけ、向いている仕事も、やりたい仕事も違うからです」
仕事に人を合わせるのではなく、その人に合った仕事を見つけていく。
そこには、設立当初から変わらない考えがあります。
「ここで働けてよかった」が、一番うれしい

長浜さんが仕事をしていて最もやりがいを感じるのは、利用者本人から、
「ここで働けてよかった」
「仕事をするのがうれしい」
という言葉を聞いた時だといいます。
これまで、自分が活躍できる場所をなかなか見つけられなかった人もいます。
「どうせ自分にはできない」
そんな気持ちを抱えてきた人たちが、仕事を通して少しずつ自信を取り戻していく。
そのためにも、<はぁもにぃ>では、ただ作業をこなすだけではなく、「自分たちが誇れるもの」をつくることを大切にしてきました。
地域の生産者から仕入れた素材を使ったお菓子づくりも、そのひとつです。
商品を購入したお客様から「おいしかった」「また食べたい」という声が届けば、それをつくった本人たちに伝えます。
「その瞬間、みんなすごくうれしそうな顔をするんです」
自分の仕事が、誰かの喜びにつながっている。
その実感が、少しずつ自信や誇りへと変わっていきます。
支援とは、「自分で選べるようにする」こと

<はぁもにぃ>が目指しているのは、生まれつ特製のある人だけにとって働きやすい場所ではありません。
「彼らが生きやすい場所、働きやすい場所というのは、結果的に誰にとっても生きやすく、働きやすい場所になると思っています」
以前は、「週5日働けること」「1日何時間働けること」といった一定の条件をクリアしてから、次のステップへ進むという考え方もありました。
けれど、生活のすべてが整っていなくても、「働きたい」という意欲と力を持っている人はいます。
<はぁもにぃ>では、「働きたい」と思った地点からスタートする。
足りないものは、働きながら一緒に整えていく。
そして、その過程で長浜さんが大切にしているのが、「自分を知ること」です。
自分は何が得意なのか。
何が苦手なのか。
どんな時に調子が良く、どんな時に崩れやすいのか。
仕事や経験を通して、過大評価でも過小評価でもない「等身大の自分」を知っていく。
そうすることで、
「自分はこういう働き方をしたい」
「これはできる」
「ここは助けてもらいたい」
と、自分自身で選べるようになっていきます。
「選択肢を広げて、自分で選べるようになるためのサポートをする。それが、私たちにとっての支援だと思っています」
人には誰にでも、調子の良い時と悪い時があります。
大切なのは、その波を完全になくすことではなく、自分の状態に気づき、付き合っていけるようになること。
「職員だって同じです。人間みんなそうですよね」
<はぁもにぃ>で大切にされていることは、障害の有無を超えて、誰にとっても必要な「働き方」や「生き方」に通じています。
利用者から、共に働く仲間へ

現在では、利用者として働き始めた人が、その後ステップアップし、リーダーやスタッフとして活躍するケースも生まれています。
あるメンバーは、利用者として仕事を経験する中で、
「一般企業へ就職するという選択肢もあるけれど、はぁもにぃで職員として働きたい」
と自ら希望しました。
別のメンバーも現在リーダーを務め、将来的には仲間をサポートする立場を目指しています。
「支援する側」と「支援される側」という関係を固定するのではなく、共に働く仲間になっていく。
そして、自分自身の経験を生かしながら、次の人を支えていく。
「そういう人たちが、いずれ<はぁもにぃ>の中心になってくれたら、一番うれしいですね」
規模を大きくすることよりも、一人ひとりとの関係を深くし、長く続いていく場所をつくる。
長浜さんが今見据えているのは、その場所を次の世代へとつないでいくことです。
LOVEGとの出会い

LOVEGと<はぁもにぃ>の関係は、約10年前までさかのぼります。
当時<はぁもにぃ>では、地域の人が自然に足を運ぶカフェづくりに取り組んでいました。そんな思いから生まれた場を通して、人と人のご縁でLOVEGとの出会いがありました。
<はぁもにぃ>の活動や、そこで働くメンバーの得意なことについて話を聞いた後
「一緒にできることはないだろうか?」と<はぁもにぃ>さんへ提案した「仕事」が、ミックススパイスづくりでした。
後日、本当に商品化の話が進んだ時、長浜さんは驚いたといいます。
「その時に話したことを、ちゃんと覚えていてくれて、本当に形にしてくれたんだと思いました」
「できる仕事」に分解する


スパイスの製造を始めるにあたり、LOVEG側では製造工程を細かく整理しました。
一度に複数のことを処理することが難しい人でも作業できるよう、一人につき一工程ずつ判りやすいように写真や図を使って手順を整理していきました。
「どうすれば<はぁもにぃ>の皆さんが作業しやすいか」
という視点から、工程そのものを設計していったのです。
できないから仕事を任せないのではなく、仕事を細かく分解し、「できる仕事」に変えていく。
そうすることで、一人ひとりが商品づくりの大切な工程を担うことができます。
現在では、スパイスづくりは<はぁもにぃ>にとって大切な仕事のひとつとなっています。
発注者ではなく、パートナー

LOVEGについて尋ねると、長浜さんから出てきたのが「パートナー」という言葉でした。
「単に作業を依頼する発注先として私たちを見たことがないんです」
どうすれば作業しやすいか。
どのような方法なら、一緒に良いものをつくれるか。
常に<はぁもにぃソーシャルファーム>側の状況を尊重しながら、一緒に考える。
その姿勢は、長浜さんだけでなく、商品を手がけるメンバーにも伝わっているといいます。
「大切にしてもらっているという感覚が本人たちにも伝わるので、その気持ちに応えたいと思うんですよね」
発注する人と、作る人。
それだけではない関係が、LOVEGと<はぁもにぃ>の間には、長い時間をかけて育っているものがあります。
「嘘のないもの」を、一緒につくる

長浜さんは、<はぁもにぃ>が大切にしてきた商品づくりを、「嘘のないもの」と表現します。
素材に向き合い、つくる工程にも誠実であること。
必要以上に飾ることなく、本当に良いと思えるものを届けること。
そして、LOVEGの商品にも同じものを感じているといいます。
「私たちが大切にしてきたものと同じ感覚の商品を手がけさせてもらえることが、本当にうれしいんです」
LOVEGの商品が売れることは、<はぁもにぃ>で働く人たちの仕事が増えることでもあり、その仕事から生まれた収益は、一人ひとりの自立にもつながります。
だからこそ、長浜さんにはひとつの目標があります。
「いつか『もう発注が多すぎるから無理です』って、こちらから断らないといけないくらい注文をもらうことです」
笑いながら話すその言葉には、商品をつくる人への思いが込められています。
人が自分らしく働ける場所を、次の世代へ

約20年前、
「この子たちに、何を残せるだろう」
という問いから始まったはぁもにぃソーシャルファームプロジェクト。
そこで長浜さんたちがつくってきたのは、完成した答えではありません。
自分を知ることができる場所。
挑戦できる仕事がある場所。
そして、「自分はこう生きたい」と、自分自身で選べる場所。
生まれつき特性のある人が働きやすい場所を考えていくと、それは誰にとっても働きやすい場所になっていく。
相手を変えるのではなく、その人が持っている力を発揮できる環境をつくること。
<はぁもにぃ>とLOVEGの協業も、その実践のひとつです。
私たちの製品の背景には、素材だけではなく、つくる人、働く人、そしてそれぞれが自分らしく生きるための物語が詰まっています。
ぜひ、そんなことを感じながら、手にとっていただき、
食卓で、大切な人と一緒に、「仕事とはなんだろう?」「生きるってなんだろう?」そんな愛のある会話が生まれたら嬉しいです。
